ダウトフルサウンドの旗揚げ公演「フェードラズ ラブ」は2013年11月に東京・タイニイアリス、12月に大阪での公演を終え、2014年にギリシャ、アテネで公演します。
今年の始めにダウトフルサウンドを立ち上げた私達は、東京での旗揚げ公演、また来夏のギリシャ・アテネ公演にふさわしい作品を探していました。昨年ブラック・ストライプシアターでキャリル・チャーチルの「クラウド・ナイン」を演出していた私は、時に白熱した議論がリハーサル中に交わされた非常に繊細かつ重要なテーマを引き続き追求できるような作品を求めていました。そんな私に創立メンバーの一人である紫那子が提案したのが、何年か前に友人達と翻訳・上演を試みた今回の作品「フェードラズ ラブ」でした。今回の上演にあたり、更に練り直した日本語字幕を作成し、サラ・ケインがギリシャ悲劇「フェードラ」をもとに書き上げた本作を上演できる事を嬉しく思います。サラ・ケインはキャリル・チャーチルの影響を色濃く受けており、私の願いだった繊細で難しく、かつ重要なトピックを再び突き詰めていく機会を十分に与えてくれました。
そのトピックとは、愛の暗い側面、欲望、セックスやセクシュアリティー、矛盾に満ちた愛国心と王室の在り方、偽善的行為と組織化された宗教、エゴイスティックな男性性や希望のすべてが絶たれた人間にとって死がたった一つの選択肢となってしまう絶望的な状況。
「フェードラズ ラブ」は楽しい芝居ではありません。人間がなしうる、目を背けたくなるようなむき出しにされた醜さを突きつけられる芝居です。人間性の素晴らしさを謳った芸術作品はたくさんあります。非の打ち所のないヒーローが、この世はすべて良い事ばかりに満ちているのだと思わせてくれるような。「フェードラズ ラブ」はそういう作品ではありません。これは悲劇です。しかし悲劇を通して人はカタルシスを得ます・・・それはむしろ陶酔をもたらすのでしょうか?・・・それとも完全なる絶望を?ふむ。
Director: Andrew Wakatsuki-Robinson
Assistant Director/Stage Manager: Adam Yorke
Lighting design and operation: Jeremy Plant
Technical Support: Stewart John Jackson
Box Office: Berenger and Madeleine Bordeaux
First Japanese Translation by Kisato Nishi, Miho Masakuni, and Fuyuko Miwa
Updated Japanese Translation by Shinako Wakatsuki-Robinson, Makiko Mikami, Nerida Rand, and Jeff Gedert
Thank you/協力:
Amiria Patterson, ANDS TARTINES, Ann Jenkins, Ayumu at MuuMuu’s cafe, Jack and Shinji at Our Space, Marrissa Kimble, Theater Pochette, and Tiny Alice.